五十嵐川 刈谷田川 再び濁流が襲う2011/08/04 20:56

平成16年7月13日に新潟県の中越地方を中心に豪雨となり、6河川の11箇所で破堤した。特に五十嵐川と刈谷田川では市街地部で破堤し、濁流が市街地を襲い、逃げ遅れたり、避難の途中で12名もの方が亡くなった。
それから7年が経ち、この水害をきっかけに始められた河川改修もようやく完成したばかりだった。
しかし、この7月27日から30日までの豪雨で、その五十嵐川と刈谷田川を始めとして、北は阿賀町から南は上越市までの広い範囲の河川で溢水し、施設も被災した。
五十嵐川にある笠堀ダムや大谷ダムは満杯となり、洪水調節機能は失われ、30日の朝5時頃に上流の江口地内(旧下田村)で破堤した。花江大橋右岸の下流部で溢水し約300mの堤防が決壊し、集落を水が襲った。
五十嵐川の破堤(江口地内)
7年前の破堤は下流の市街地部で、9名もの方々が亡くなられた。そして7千戸以上の家屋が浸水するという甚大な被害となった。今回の破堤でも多くの家屋が浸水したが、幸いにして亡くなられた方はなかった。
また、同じく7年前に市街地部で破堤して、3名の方々が亡くなった刈谷田川では破堤がなかった。この川でも河川改修が実施され、中流部では遊水地が設けられた。この遊水地は昨年完成したばかりで、2年目にして5つある遊水地の越流堤から濁流が水田に流れ込んだ。そのおかげで下流の市街地は守られ、前回のような被害は無かった。
刈谷田川の越流堤
今回の豪雨では、五十嵐川上流部の雨量観測所で累計約1,000mmの降雨があった。これまで1,000mmという雨は、九州、四国、紀伊半島、東海などでのことで、新潟にはあり得ないと思っていた。7年前の豪雨では約500mmで、それでも記録的降雨であった。今回のその2倍。3.11以来、想定外という言葉が流行った。技術者としては、むやみにこの言葉を使いたくないが、これまでの記録の2倍という降雨に計画を上回るという言葉だけでは足りない。はやり「想定外」としか言いようがない。

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