常浪川 ダムは?2011/06/05 18:00

今年の川歩きは阿賀野市から始めた。
今日は東蒲原郡阿賀町の常浪川を歩いた。阿賀町は津川町、鹿瀬町、三川村、上川村が平成17年4月に合併して誕生した。
東蒲原郡は福島県との県境に位置し、江戸時代には会津藩だった。津川町の「津」は港を意味し、阿賀野川の川港だった。日本海側の物資は阿賀野川を通じて津川までは舟運で、その後は陸路で会津まで運ばれた。
さて、常浪川は旧上川村を流れる一級河川で阿賀野川の支川で、ダムなどの大きな横断構造物がなく、流域の人口も少なく清流として知られる。
常浪川の清流
6月の始め、梅雨前のこの時期は新潟ではもっともに過ごしやすく、山も新緑でタニウツギが川面に咲いている。この辺りは阿賀町室谷地区で山菜の宝庫であり、昔は山菜採りで生計を立てていた。いまでも道路沿いのあちこちに「入山禁止」や「山菜採り禁止」の看板がある。また、室谷集落の入り口を通ったときには山菜採りの入山者から入山料を徴収していた。実際に川沿いを歩くとあちこちにワラビが自生していた。先週行った大須戸川ではワラビを多少取らしてもらったが、今日は自制した。
常浪川に咲くタニウツギ
さて、この常浪川には下流域の洪水被害防止と軽減、河川機能維持のため用水補給を目的とした治水ダムの計画がある。事業実施中ではあるが、本体着工には至っていない。しかしながら室谷集落の移転は完了していて、写真に見える家屋は常浪川左岸側にある集団移転地だ。
移転した室谷集落
本体着工に至っていないと言うことでピンと来た人もおられるかと思うが、事業主体の新潟県では昨年秋からダム検証を行っていて、この夏には結論がでるとのことだ。
先に流域には人口が少ないと書いたが、谷底の平地は少なく川沿いにも集落が多く、過去に水害で悩まされている所もある。たとえば下流の広瀬集落ではこれ以上川幅を広げることができず、現在でもパラペット(コンクリート擁壁)堤で人家もこれに接して立っている。
常浪川に迫る広瀬集落
せっかくここまで来たので、流域内にある「たきがしら湿原」に行ってきた。
ここは滝頭集落が集団離村した跡に人工的に作られた湿原であり、たいへん珍しく全国でも数例しかなく、水生・湿生植物、水生昆虫、野生動物、鳥類などが生息する貴重な場所だ。現在では、在来種と植栽された植物を合わせると70以上の種類が湿原の四季を彩るという。
そろそろニッコウキスゲの咲く時期だと思って来たが、まだ早くちらほらしか咲いていなかった。残念!
たきがしら湿原のニッコウキスゲ